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東野圭吾さんの2021年9月新刊『透明な螺旋』の読書レビューです。
前作2021/4刊行の『白鳥とコウモリ』から半年も経たずに出版、相変わらずハイペースですね。
ガリレオシリーズ第10弾となる本作は、帯「ガリレオの真実」、「シリーズ累計1,400万部」と記載されていて期待を煽ります。
個人的に一番好きな作家さんの読書レビューです。
未読の方はぜひどうぞ。
概要
出版日:2021年9月3日 出版社:文藝春秋 定価:1,650円(税別) ページ:301
あらすじは次の通り。
シリーズ第十弾。最新長編。
今、明かされる「ガリレオの真実」。房総沖で男性の銃殺遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮上した。
警視庁の刑事・草薙は、横須賀の両親のもとで過ごす湯川学を訪ねる。「愛する人を守ることは罪なのか」
Amazonより
ガリレオシリーズ最大の秘密が明かされる。
ガリレオシリーズとしては約3年ぶりの新作。
期待に胸躍ります。

没入感があるので一気読みがおすすめ!
レビュー
本作は戦後から始まり「今」を生きる人たちの描写が際立ちます。
それぞれの人物がどのような人生を辿り、どんなことを感じてきたか、思いを馳せるところに作品の楽しみ方があると感じました。
また、タイトル『透明な螺旋』が示す通りテーマは「血縁」。
「透明な」という箇所にこの作品のヒントを感じます。
とはいえ冒頭の記載通り、おすすめ度は星2つ。
理由はガリレオこと湯川学の卓越した推理力が、科学的な見地から人間観察へ移行していること。
これまでシリーズを追ってきた方は、少し物足りなさを感じてしまうかも。
物語の筋としては、加賀恭一郎でも成り立ったかもしれません。
また、東野作品で感じられる読後感=余韻が足りず。
特に描写がなくとも、読み終わった後に考えさせてくれる背景が乏しく、もう少し登場人物と事実描写に深入りしてほしかったという印象です。
個人的には単純なわかりやすさを求めているわけではなく、事実だけが突きつけられるところに物語の本質が消えてしまった、という感触。
しかしながら東野作品特有の、登場人物それぞれの魅力と、人間関係の緻密さは健在。
個人的には旧友である草薙との、「言いたいことがあるけれども互いの立場を尊重する」というやりとりに胸が熱くなりました。
これまであまり語られなかった「湯川学」という人物の周辺環境に迫る本作は、シリーズを追ってきたからこそ楽しめるかもしれません。
また、家族の在り方についても考えさせられる本作は、終盤の湯川のセリフに心打たれます。
人は誰しも思い通りの人生を歩むことはできないかもしれませんが、与えられた状況の中で精一杯生きることの必要性とやるせなさを考えさせてくれる一冊です。
なお、ドラマや映画の印象が強いため、読んでいるとどうしても俳優の皆様が浮かんできます(笑)
いずれ映像化された際にはぜひみてみたい作品ですね。



シリーズを追っている方はぜひご一読を!
まとめ
以上、『透明な螺旋』の読書レビューでした。
「ガリレオの真実」と記載された帯には少し煽りすぎな印象もありますが、シリーズを読み続けている方にはおすすめしたい一冊です。
次回のガリレオシリーズも期待大!
個人的に追いかけている作家さんですので、いつも読んでいる間はワクワクします。
今後も素敵な作品を期待しています!
次回作も心より楽しみにしております!
皆さんも読んでみてくださいねー!



それでは!あとからねー
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