日本酒の資格『SAKE DIPLOMA』の傾向と対策

趣味
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こんにちはー、わいです。
日本酒の資格といえば「利酒師」が有名ですが、2017年に新しく発足した「SAKE DIPLOMA」をご存知ですか?

この記事では所見を含めた「SAKE DIPLOMA」についての概要を解説します。
スクールなしでも独学で合格可能な試験対策も記載していますので、ご参照ください。

わい
わい

それではまいりましょー!

※この記事では便宜的に「清酒・焼酎・泡盛」を総称して「日本酒」と呼称しています。

SAKE DIPLOMA 概要

夏は冷酒
夏は冷酒

資格概要

主催

主催は「一般社団法人 日本ソムリエ協会 -JAPAN Sommelier Association-」です。
日本ソムリエ協会は、ワインをはじめとする酒類・飲料を取り扱う「ソムリエ」をはじめとした各種資格を管理する日本国内の社団法人です。

ソムリエ協会がなぜ日本酒?

そう考える方も多いかもしれません。
まずは資格の概要についてみてみましょう。

資格概要

SAKE DIPLOMAは<世界のソムリエ>で有名な田崎真也さんがソムリエ協会の会長を務めることになり発足した認定試験です。
試験の開始は2017年。
著書によれば、田崎さんは世界各国のワインを知ることで、より自国のお酒を知る必要性を感じたそうです。

ちなみにソムリエ協会のホームページには、SAKE DIPLOMA認定試験に関して次のように記載されています。

当協会は1969年発足以来、わが国におけるソムリエをはじめ酒類・飲料に携わる方々の資質の向上と、酒類・飲料の普及に努めてまいりました。そのような中、我々の伝統的な食文化である和食と日本酒・焼酎を取り巻く環境は大きな変化を迎えています。

 このような現状を踏まえ、2017年に当協会は、皆さまが日本酒・焼酎に関する知識を深め、技量を向上させることが、日本の食文化のより一層の普及と向上に繋がるものと考え、日本酒・焼酎に特化した認定制度である「J.S.A. SAKE DIPLOMA」を発足致しました。

一般社団法人 日本ソムリエ協会「2021年度J .S.A. SAKE DIPLOMA認定試験」より
わい
わい

自国の文化をしっかり知る。大切なことですね。

合格すると何かもらえるの?

合格後、登録手続きを行うことで認定証・認定カード・認定バッジがもらえます。
自宅に飾るもよし、背広につけるもよし、お好きに使いましょう。(転売はNG)

受験概要

受験資格

受験資格は国籍、職種、経験ともに不問。
基準日(2021年だと8月31日)に満20歳以上であれば受験可能です。
ソムリエ資格は「お酒に関する業務に従事」という制約がありますので、比較的受験しやすい条件ですね。

受験費用

受験費用は以下の通りです。
仮に一次試験のみ通過すれば、翌3年間は二次試験からの受験が可能です。
趣味でやる分には正直高額です。

出典:日本ソムリエ協会ホームページ

登録費用

その他受験料とは別に、合格後に入会費と登録費用が発生します。

  • 入会費 通常10,000円、試験申込と同時入会で5,000円
  • 年会費 7,500〜円(入会月によって異なります)
  • 登録費 20,950円

試験概要

続いて試験概要についてざっくり見ていきましょう。

期間

出願期間:2021年3月1日(月)10時〜7月15日(木)18時

第一次試験 受験日:2021年7月20日(火)〜8月31日(火)
一次試験はCBT方式のため、任意の日程で受験が可能です。
あらかじめ会場の予約が必要ですのでご注意ください。

CBT方式とは?
パソコンを利用して解答する試験方式。受験者はコンピューターに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答、終了後は即時合否が判定されます。

第二次試験 受験日:2021年10月18日(月)

試験科目

一次試験CBT試験
二次試験論述、テイスティング

試験科目は一次がCBT試験、いわゆる筆記試験に準じた内容です。
試験自体はパソコンで回答、終了後はすぐに合否を確認できます

二次試験は論述&テイスティング。
一次試験を突破した方であれば論述はさほど問題ないかと思います。
問題はテイスティング。こちらは後述します。

会場

第一次試験:申し込み後会場予約のためのID/パスワードが交付、会場の事前予約を行い受験。

第二次試験:全国18会場の指定された場所で受験。

SAKE DIPLOMAに対する所見

日本酒のみたい
冬は燗

なぜSAKE DIPLOMAを取得するのか

取得を目指すにあたって、ぜひその目的を明確にしておくとモチベーションにもつながりやすいのでおすすめです。

取得する目的は?

「SAKE DIPLOMA」に興味を持ったなら、ぜひ目的を明確にしておきましょう。
後述するように、メリットもあればデメリットもあります。
「せっかく時間とお金かけたのに無駄だった〜」とならない方がいいですよね!

利酒師ではダメなの?

日本酒の資格として有名な「利酒師」。
こちらは合格率80%と受かりやすさが好評です。
その反面やや権威性に欠けるのも事実。

また、利酒師の合格後は資格を維持するために毎年年会費を納める必要があります。
SAKE DIPLOMAは初回こそ費用がかかりますが、一度取得すれば有資格者としては半永久的
どちらがご自身に合っているかぜひ検討してみてください。

認知度はあるの?

2021年6月現在、ワインで有名な「ソムリエ」の有資格者数が総勢35,527名。
これに対し「SAKE DIPLOMA」は4,287名です。
存在としても名称としても一般的にまだまだ知られているとはいいがたいのは事実です。
今後の認知度拡大に期待したいところです。

出典:日本ソムリエ協会ホームページ

メリットは?

それでは「SAKE DIPLOMA」のメリットは?

日本酒について体系的に学ぶことができる

受験に際して配布される「教本」で、体系的に日本酒を知ることができます
製造方法や食事との組み合わせなど網羅的に学習できるので、きっとその後の日本酒ライフを豊かにできるはずです。

今後「権威性」が高まる可能性がある

今や誰でも知っている「ソムリエ」という職業。
「SAKE DIPLOMA」はまだまだ認知度が引くいといえど、日本ソムリエ協会の尽力により今後権威性が高まる可能性があります。

いつかは今の「ソムリエ」のように、誰もが知る資格になっていくことを期待しています。

食の楽しみが増える

こちらは個人的な主観ではありますが、取得することでより日本酒の楽しさを実感できるようになりました。
例えば私自身は食事、気候、気分などに合わせて日本酒を選択できるようになったため、お店でも自宅でも食の楽しみが広がりました。
お酒と食が好きな方は勉強の価値あり!

デメリットは?

続いて私自身が感じたデメリットです。

学習コストがかかる

日本酒が好きであれば独自で知っていればいいし、ましてや知識だけの頭でっかちにならずに好きなお酒だけを飲み続ければいいと思います。
「資格取得」にこだわる必要はないので、時間をかけてまで取得する目的を明確にしておきましょう。(偉そうにすみません)

費用がかかる

受験料はもちろん、合格後には入会費や登録料が発生します。
趣味として取得するには決して安くはない金額ですので、今一度考えてみましょう。
ただし一度合格すれば永続的に有資格者として「SAKE DIPLOMA」を名乗ることができます。

昇格や昇給にはつながらない

こちらは会社にもよるかと思いますが、日本酒と関連のある業務でない限り、昇格や昇給にはつながらないことがほとんどです。
認知度の低さはもとより、デメリットにあげたように資格保有の意義がまだありませんので、

資格を保有してたらなんなん?

みたいなことにもなりかねません。もちろん受験料や登録料は自己負担。
とはいえ必要としている企業では、資格手当や転職につながることもあるでしょう。

以上を踏まえ、事前に取得の目的を明確にしておくことをおすすめします。

Y家の事例-取得を目指したきっかけ-

お酒が好きだった

私自身に関していえば、お酒が好きで日本酒についてもっと知りたいと思ったことがきっかけです。
もちろん資格などなくとも詳しい方はたくさんいますが、私の場合は資格取得を経由することで記憶が定着して楽しさを増やすことができるタイプでしたので、資格取得を目指しました。

ちなみに沖縄では近年日本酒の取扱い店舗や飲食店が増えてきています。
全国に比べ、実際にはまだまだ日本酒が飲まれていないのも事実です。
スーパーなどでは普通酒が極端に少なく「特定名称酒」と呼ばれる高価なお酒が並んでいるのも特徴です。

今後日本酒が再評価されると予想

日本酒は国内での消費が落ち込む中、海外への輸出が拡大しています。
「ソムリエ」というとワインの資格で有名ですが、今後は「SAKE DIPLOMA」の認知が高まっていくかもしれません

また、ソムリエ協会では「SAKE DIPLOMA International」という国際資格も準備されています。
ソムリエ協会は「SAKE DIPLOMA」をグローバルな資格として世界へ広げたいと考えているため、今後は権威性が上がることも考えられます。

バッジが欲しかった

あとバッジが欲しかった。マジです。

「米」の文字。

「SAKE DIPLOMA」試験対策

テイスティングは比較で練習

SAKE DIPLOMA 試験の傾向

難易度は?例年40%前後の合格率

「SAKE DIPLOMA」の合格率は40%前後。
同じ日本ソムリエ協会が主催する「ソムリエ」と比較すると受かりやすいといえます。

資格名称項目2017201820192020
SAKE DIPLOMA受験者数3,5152,5702,4572,228
合格者数1,458978867984
合格率41.5%38.1%35.3%44.2%
ソムリエ受験者数5,5205,2334,5344,316
合格者数1,2991,3891,3531,634
合格率23.5%26.5%29.8%37.9%

ちなみに私が受験した2017年度は、初回ということもあり難易度は易しめでした。
もしかすると「初めての試験で情報がない」ということで、配慮があったのかもしれません。
近年の合格率が40%前後とはいえ、今後は難化が予想されます

独学で取得可能

「SAKE DIPLOMA」は独学でも取得可能です。
私自身も周りに資格保有者がいない中で合格できました。
自信がない方は「スクールに通う」という手段もありますが、まずは自力で挑戦することをおすすめします。

一次試験は全て受験申し込み後に配られる「教本」から出題されます
しっかり理解して、細かい項目を覚えれば十分試験通過が可能です。

二次試験は継続した訓練が必要です。
一次試験の勉強中からテイスティングの練習を行っておきましょう。

なお、一次試験対策にはこちらのサイトがおすすめです。
ブラウザで回答ができますので、CBT方式に慣れるためにもぜひどうぞ。

また、二次試験の過去問やテイスティング用紙のダウンロードも可能です。

SAKE DIPLOMA 試験対策|日本酒4択問題集
日本酒に特化した認定制度である「J.S.A. SAKE DIPLOMA」の試験対策用問題集サイト。本番と同じ「CBT 方式」でのクイズ形式でsakediplomaの試験問題を解くことが可能です

勉強時間は?

「SAKE DIPLOMA」の学習時間はおおよそ50〜100時間あれば一次通過が可能です。
「ソムリエ」の勉強時間が約200時間と言われていますので、その半分以下ですみますね。
仮に受験まで2ヶ月だとすると、平日1-2時間の勉強時間が確保できれば十分射程圏内です。

繰り返しになりますが、二次試験は継続した訓練が必要です。
清酒・焼酎+泡盛を複数銘柄用意して、違いを区別できるようになりましょう。

SAKE DIPLOMA 試験の対策

試験対策の概要です。

一次試験 筆記(CBT方式)

一次試験は筆記試験に準じる形式で行われます。
出題範囲は全て「教本」からですので、理屈の理解と数字などの細かい正誤を抑えれば問題ありません。

対策項目は以下の通りです。

  • 醸造や蒸留の理解
  • 原材料と生産地
  • 年号や数値
  • 食べ物とのペアリング
  • 清酒、焼酎、泡盛のトピック

特に日本ソムリエ協会らしく「テロワール」にこだわった米の産地に関する問題は覚えにくい上に頻出です。
内容と違いを理解して一つずつ覚えていきましょう。

また、一次試験は出題範囲が限られるが故に設問が細かくなりがちです。
まるで重箱の隅をつつくような問題も出てきますので、しっかりと理解しておきましょう。

参考まで、一次試験の例題です。おおむね4択、正誤は2択です。

  • 醪の日数を数える場合、1日目とする工程を1つ選びなさい。
  • 酵母の酸性側の生育限界pHは?
  • 兵庫県産山田錦の特A地区の中で秋津地区に該当する集落はどれか選びなさい。

解答方法はCBT方式、パソコン上で直接選んでいきます。

わい
わい

私の受験時はマークシート方式でした。

大事なことは理解と暗記。
まずは理屈をしっかり理解して、次に細かい数値を暗記していけば十分合格可能です。
過去問を暗記するまで取り組んだり、ご自身で模擬問題を作成したりするとより効果的です。

現在はCBT方式のため一次試験の過去問の入手が困難になっています。
模擬問題を販売しているサイトもありますので、ぜひご参照ください。
模擬試験で80%ほど獲得できれば一次は問題ありません。

二次試験 論述

二次試験は論述とテイスティング。
一次試験終了後は、記憶が薄れないうちに教本にあるトピックを復習しておきましょう。

以下論述の例題です。

  • 奈良県について述べよ
  • 球磨焼酎と相性がいい料理について述べよ

こちらは2020年に実際に出題された問題です。
解答方式は配布された用紙にマス目がふられており、規定の文字数以内で記述するものです。
文字数オーバーはNGですが、少なくても減点対象。
試験時間は20分と短め。回答に必要なキーワードをしっかり散りばめて、論理立てた文章を書く必要があります。

二次試験 テイスティング

二次試験のテイスティング、これがなかなか難しい。
普段「比較して飲む」という飲み方はあまりしないと思いますが、試験では通常清酒3アイテム、焼酎(+泡盛)2アイテムが出題されます。

時間は30分ありますが、回答時間を含めるとあっという間です。
しかも飲めば飲むほど酔いが回りわからなくなる、というトラップ付き。
普段から練習を継続して、迷いのないように回答していきましょう。

試験対策です。

清酒

まずは練習の方法。
小瓶でいいので、いくつか種類を用意して比較試飲をしてみましょう。

試験ではワイングラスで提供されるので、普段の練習も小ぶりのワイングラスを使うことをおすすめします。
amazonなどで「テイスティンググラス」で検索するとぴったりのものがありますが、揃えると高いので100均でも大丈夫です。
私自身は小瓶とグラスの底にカラーシールを貼って、ランダムに比較試飲を行う、という方法で練習しました。

こんな感じ。

比較で確認するポイントは以下の通りです。

  • (大)吟醸か否か
  • 純米かアルコール添加か
  • 米の品種(山田錦・美山錦)

それぞれの特徴を見た目・香り・味わいで判別していくとわかりやすいです。

焼酎・泡盛

こちらもワイングラスで提供されます。
焼酎・泡盛は見た目ではほとんど分かりませんので、特に香りを中心に判別すると分かりやすいです。
用意するのは以下の焼酎と泡盛。銘柄は特にこだわらず、買いやすいもので問題ありません。

  • 芋焼酎
  • 米焼酎
  • むぎ焼酎
  • 泡盛
実際の比較試飲

比較で確認するポイントは以下の通りです。

  • 原料は何か
  • 蒸留方法は常圧か減圧か

焼酎の香りはそれぞれ原材料により特徴があります。
まずは比較試飲をしてみて、すぐにわかるようであれば問題ありません。

日本酒を楽しもう!

以上、日本酒の資格「SAKE DIPLOMA」について解説しました。
2021年受験の申し込みはまだ間に合います!

「SAKE DIPLOMA」に対してはいろいろな意見がありますが、私自身はお酒や食の楽しみが増えたことから「取得してよかったな〜」と思っています。
20歳以上であれば誰でも受験資格がありますので、日本酒に興味のある方はぜひ勉強してみてはいかがでしょうか。

わい
わい

それでは!あとからねー

今日のカタログ
  • 2021年の一次試験日は7月20日〜8月31日(出願期限7月15日)、合格率40%で勉強時間は50-100時間程度
  • 取得するなら目的を明確にすると◎
  • 取得後、日本酒(清酒・焼酎・泡盛)と食の楽しみが広がりました

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