期待度
満足度
おすすめ度
東野圭吾さんの2021年新刊『白鳥とコウモリ』の読書レビューです。
言わずと知れた超人気作家・東野圭吾さんの最新作。
前作の『ブラック・ショーマンと名もなき街の殺人』からわずか4ヶ月のハイペースで刊行、しかも全く違ったテイストの長編小説となりました。
帯には「『白夜行』・『手紙』に続く新たなる最高傑作」とあるので期待度MAX。
本来の東野圭吾さんらしい作品が好きな方は要チェックです。
まだ読んでない方はぜひご覧になってください。
概要
出版日:2021年4月7日 出版社:幻冬社 定価:2,200円
あらすじ:遺体で発見された善良な弁護士。
Amazonより
一人の男が殺害を自供し事件は解決――のはずだった。
「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」
2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の”告白”、その絶望――そして希望。
「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」
私たちは未知なる迷宮に引き込まれる――。
ページ数はなんと523ページもの大長編!にもかかわらず一気に読み進められるストーリー構成はさすが東野作品、といったところでしょうか。
こちらもいずれ映像化されるのでしょう。

半日で一気読みしてしまいました!
それでは読書レビューです。
レビュー
2017年に東京で起きた事件と1984年に愛知で起きた事件がつながる重厚な作品。
「白鳥とコウモリ」、決して一緒に空を飛ぶはずはないけれど、視点と立場の交錯によってうまくそのタイトルが表現されています。
事件の全容が明るみになった時、帯にもある台詞『幸せな日々は、もう手放さなければならない』というセリフが刺さりました。
過ちを犯したと気づいたとき、彼はいつかの未来に向けてそれを覚悟していたのだと考えると、なんともやりきれない切なさが残ります。
人は誰しも誤りがあるし、過去の過ちは償えないかもしれない。
しかしその犯した罪が償えなくなったとき、それこそが罰なのではないかと考えさせられました。
事件当時、何が正解だったのかは誰にもわからない。
起こってしまった出来事は変えることができないけれど、これからの未来のために何ができるか、過ぎていく現在にその答えを探し求める登場人物の善の側面にスポットライトを当てた作品でした。
また、事件後も家族や遺族は生きていくし、登場人物それぞれの立場で細やかな視点があり飽きずに楽しむことができました。
検察と弁護人それぞれとのドライな場外乱闘もリアリティがあり、作品全体のいいスパイスになっていると感じます。
突発的な事件とそれに絡む精緻な人間関係の描写は、近年の東野圭吾作品らしい内容です。
一方で、結末の収束や細部の違和感については少し物足りなさも。
帯にあるような「白夜行」「手紙」を超えるようなインパクトを感じることができず。
まとめ
以上、『白鳥とコウモリ』の読書レビューでした。
東野作品はいつも期待が高くなってしまう分、反動が大きくなってしまうのも事実。
一部物足りない部分はありましたが、今回も「すごい……。」と感嘆してしまいました。
500ページを超える大長編ですので、東野作品を追っているのであればぜひ読んでほしい作品です。
緻密に組み上げられた人間関係や人の行動は、まさに東野圭吾さんらしい構成だと感じます。
「まだ東野作品を全て読んでいない」という方はその他にも名作がたくさんあるので、長編から入らなくとも良いかなとは感じます。
上記を踏まえて期待度5、満足度3、おすすめ度2としています。
東野圭吾作品は読後感がとても強く、考えさせられる作品は特に長い間自分の心にとどまってくれます。
こういった作品に出会えるだけで幸せですね。
次回作も心から期待しております!!
皆さんも読んでみてくださいねー!

それでは!あとからねー
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